夜風レコード〜窓を叩くノイズ

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井上さん


昨日の夕方、トッシーとヒコノと赤塚の東武ストアを出て、自転車置き場に。
荷物も載せて、ヒコノも載せて、さあ、帰るべ。と、そのとき、
駐輪場に入ってきた一人のおじさん。
「ん?見覚えが…!」
じっと目で追っていると、向こうも気付いて(そりゃそうだ、となりにいたからね)、
私は勇気を振り絞って、「井上さん…ですよね!」
すると向こうも「お〜まえ、な〜にやってんだよぉ〜」との返事。


20年ほど前、東京大学の生協のプレイガイドでバイトしていたのだが、このとき隣の店舗のパソコン店(いや、当時はワープロだけだっけ?)の店長だったのが、この井上さんである。
茨城なまりのイントネーションで話すこのおじさん、いつからか親しくなり、おそれ多くもタメ口きいておりました。
どんな人っていうのも説明しづらいが、明るく気さくで、浮き足だって無くて、オープンに話せる人、おじさん。
私生活はしかし語らずに、たしか酒はだめだっけ。
あ、フィリピンに彼女がいるとかいないとか…??
井上さんは毎週少年マガジンを読んでいたのだが、いつからか俺が井上さんに本代をもらって、毎週買っていって、井上さんの読んだ後に俺が読ませて貰うという、変な関係があった。
いつだか休憩時間に二人でバドミントンをして、必死にラケットを振る俺に「な〜んでそんなに必死なんだよぉ〜」と笑顔で返してたのを思い出す。
人生相談という程でもないが、当時何やら話(将来への不安とか?(苦笑))を聞いて貰ったような気もする。まったく憶えてはいないんだけどね。


井上さんが店舗を移り、俺が生協を辞めて、しばらく後に、初めてのオリジナルカセットテープを持って、その店まで遊びに行ったっけ。それっきりだ。もう、15年前だ。


まさか、今、再会するとは、思ってもみなかった。
しかし、井上さん、当時とまったく印象が変わっていない。
今見て、50代半ばってところか。すると、当時は30後半から40歳ってことになる。えっれえ、老けてたんじゃないの?じゃあ(失礼だな!)。


どこにいるのかとの問いに「6丁目だよ〜」。
「俺は四葉なんです。この辺にもよく来るんです。あ、今何も交換するもの(名刺とか)がない」というと、
「いいよいいよ、そのうちまた会えるさ」と言いながら、東武ストアに消えていった井上さん。


この辺りに来て8年。8年間会えなかったのに「そのうちまた会える」なんて、よほどのことだと思うが、そんな言い方もまた井上さんらしいのであった。


なんか照れくさいが、子供と奥さんを見せることができて、
ほんの少し、あの頃より「しっかりやってますよ」的なところを見せることができて、ちょっと嬉しかった。


もし今、井上さんと付き合うことができたら、なんだか色々と話を聞いて貰いたいなぁ。そんで「ばかだなぁ」とか「大丈夫だよぉ」とか言ってもらいたいな。
それとも、あの頃とは違ってお互い「おじさん同士」として、違った話もできるだろうか。

「そのうちまた会え」たなら、こんどはしっかり連絡先を聞いて、飲みにでもさそってみようか。…あ、井上さん飲めないんだった…。お菓子でも持って遊びに行くか?(笑)


そのころの知り合いとは今まったく縁がないので、この喜びも伝えようがなくって、ちょっち寂しい春の夜です。