大きな風が来て 町の色合いが変わりました
新しいリズムに 馴染めなくて耳を塞ぎました
ずいぶん永い間 居眠りしていたんです
きなくさい噂に 踊らされたメールが届きました
迷惑にまぎれて 大事な約束をすっ飛ばしました
ずいぶん永い間 居眠りしていたんです
手練の女子たちに 舞い上がった夜がありました
夢に足を取られ 挙げ句の果てに煙に巻かれました
ずいぶん永い間 居眠りしていたんです
悲しみがほどけて 子供じみた魔法が解けました
信じていたものは たちの悪すぎる冗談でした
ずいぶん永い間 居眠りしていたんです
見晴らしが良過ぎて 足がすくんで 目が眩みました
落ち着く場所は せいぜい いらかの波の上
ずいぶん永い間 居眠りしていたんです
そろそろ春ですし もう水に流してしまいませんかって
流れ着いた先の 厄介ごとには しらんぷりなのです
ずいぶん永い間 居眠りしていたんです
優しげに佇む 表通りの古いお地蔵さんは
右の顔で泣いて 左の顔で怒りを露にした
ずいぶん永い間 居眠りしていたんです
君は旅の先で 想いに駆られるまま歌いました
書き捨てた恥は 長靴いっぱいに溢れました
ずいぶん永い間 居眠りしていたんです
そして蒔いた種は 誰かのつけた足跡の下で
芽吹く時を待って いつか小鳥の糧になりました
ずいぶん永い間 居眠りしていたんです
大きな風が来て 町の色合いが変わりました
新しいリズムに 馴染めなくても季節は移ろうんです
ずいぶん永い間 居眠りし続けるんです
ずいぶん永い間 居眠りし続けるんです
（「寝ごと」改メ） 2012.3.28〜4.24
